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林 浩一氏(陸上自衛隊 東部方面総監部 政策補佐官) 講演会

 捕虜資格の前提と効果に関する一考察
-紛争形態並びに処罰及び抑留との関連から-
(OSIPP国連政策研究センター主催講演会)

 11月26日、OSIPP棟6階会議室にて、陸上自衛隊東部方面総監部政策補佐官・林浩一氏による、「捕虜資格の前提と効果に関する一考察」と題した講演が行われました。

 まず林氏は2004年の事態対処法制制定時の実務経験を踏まえ、捕虜に関する国際法規範の構造を、ジュネーヴ第3条約等の条文に則し、捕まってから捕虜になることと、対象者は国際的武力紛争の形態に応じ変化する点から説明しました。次に、捕虜の抑留の本質は人道的処遇の確保よりも敵戦力の減殺という武力紛争時の敵対行為の一環と位置づけられること、また戦争犯罪等の処罰の要否は捕虜資格の有無自体ではなく、捕まる前の立場に応じて判断されるべきといった、詳細な分析が示されました。そして日本の捕虜に関する法制度について、上記の国際法の整理を受け、国際法上の捕虜の全てが生じ得るものではないことと刑事処罰は刑法等が適用される点から説明されました。

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 本講演からは立法作業時の議論の一端が伺えるとともに、本年3月に学位取得された林氏から、学術研究でも概念の前提や背景事情の整理・理解が重要であることに付言されるなど、国際法専攻の大学院学生をはじめ多くの参加者にとって有益な機会となりました。

(OSIPP博士前期課程 LIU PAN・中田淳)

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