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【インターンシップ体験談】赤井勇斗さん(OSIPP博士前期課程)

【インターンシップ体験談】

赤井勇斗さん(OSIPP博士前期課程)


私は2025年9月初旬に、シンガポールのコンテナ船運営会社Ocean Network Express(ONE)のJEWELS Programに参加しました。

 

ONEは、川崎汽船、商船三井、日本郵船の3社が2017年に定期コンテナ船事業を統合して設立した日本発の大手外航コンテナ定期船運営会社です。2018年4月からサービスを開始し、シンガポールに本店を構え、世界第6位の輸送能力を持っています。衣類や機械部品、食品など多様な貨物を輸送して世界の経済活動を支えており、環境対応やDX化を積極的に推進している企業です。実際に本社を訪れると、多国籍の社員が働いており、社内カフェの共有スペースでは活発な意見交換が行われ、透明性の高いオフィス環境が印象的でした。

 

プログラム内容

プログラムは5日間にわたり、基本的にすべて英語で実施されました。参加者は日本人中心の35名で、1日目はコンテナ業界とONEの事業について学び、業界理解を深めるミニゲームを通してアイスブレイクを行いました。2日目から5日目までは、実際の業務に近い「新規航路開拓ワーク」にチームで取り組みました。

このワークでは、ONEが現在運航している航路から新たに拡張するべき最適な港を探り、最終日に社員の方々にプレゼン形式で提案することが求められました。まずアフリカ大陸か南アメリカ大陸のいずれかを選択し、ONEのサービスがまだ行き届いていない港を選定しました。その上で、インターネットや企業から提供されたデータをもとに、その港の需要や将来性を分析しました。3日目には中間報告を行い、各チームの進捗を共有しました。興味深いことに、すべてのチームが異なる港にアプローチしており、着眼点の多様性を実感しました。社員の方々からの的確なフィードバックはワークを円滑に進める大きな助けとなりました。また、中間報告後には実際の港を視察する機会があり、普段見ることのできない港の効率化の工夫や細部の作り込みを拝見でき、貴重な経験となりました。

ワーク中やお昼休みには社員の方々と積極的に交流する機会があり、仕事に関することから関係のない話題まで幅広く会話することができました。社員の皆さんがインターン生に対して壁を作ることなく、仕事を楽しんでいる姿がとても印象的でした。

 

学んだこと

チームでのワークでは、一貫して楽しみながら課題に取り組むことができました。しかし、「新規航路」という以外に明確な制約がなかったため、最初は何から手をつければよいか分からずなかなか進まないことがありました。また、競合他社やその港の政治状況・貿易産物など考慮すべき要素が多すぎて、議論が発散し、方向性の解釈の違いから意見がぶつかることもありました。それでも、何を強調すべきか、なぜその港でなければならないのかを何度もチームメンバーと話し合い、最終的には全員が納得できるプレゼンテーションを社員の方々に行うことができました。

このインターンシップを通して、貿易特にコンテナ業界の概要を知ることができ、一本の航路を運航開始するまでのプロセスがどれほど綿密に計画され、チームで結論を出すことがどれほど困難かを実感しました。慣れない異国の地でこれまで取り組んだことのない課題に挑戦し、さらに英語でプレゼンテーションを行うという経験は、私にとって非常に貴重なものでした。ほとんどのインターン生が留学経験を持つ中、留学経験のない私にとって、多様な考え方に触れられたことは大きな学びになりました。また、このインターンに参加することで、海外で働くことのイメージを強く持つことができ、確実に自分の成長につながったと感じています。

 

最後に

このプログラムに申し込む前は、シンガポールで英語を使ってインターンシップに参加することに不安がありましたが、今では参加して本当によかったと思っています。ONEのJEWELS Programは確実に私の視野を広げ、成長につながりました。また、5日間ともに励んだチームメンバーや他のインターン生とは仲を深めることができ、今では定期的に会うほどの友人関係を築いています。貴重な経験と素晴らしい出会いを得ることができたこのインターンシップは、かけがえのないものでした。これからも様々なことに挑戦していきたいと思っています。