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【院生紹介】原田嵩弘さん(OSIPP博士前期課程)

【院生紹介】原田嵩弘さん(OSIPP博士前期課程)


今回は、OSIPP博士前期課程に所属する原田嵩弘さん(M2)にインタビューを行いました。原田さんは4月からOSIPPの博士後期課程に進む予定で、博士前期課程の間には研究活動に積極的に取り組んできました。今回はその研究活動と学業との両立や研究内容について伺いました。(写真:先輩とのディスカッションの様子。右が原田さん)

 

博士後期課程に進まれるとのことですが、いつ決心しましたか。またなぜOSIPPの博士後期課程を選択しましたか。

入学した当初の2024年4月の時点では、博士後期課程に進むことを考えていませんでした。いよいよ周りの同期が就職活動に取り組もうとしているときに、私が所属している赤井伸郎先生の研究室の先輩方と研究を始め、その研究が楽しかったので、博士後期課程に進もうと考えるようになりました。

その研究で、自分が学部生のころに読んで蓄えていた論文の情報を用いながら、研究の貢献の位置づけを提案できたことで研究を楽しいと思いました。周りの人々に恵まれ、研究を楽しく続けられる環境がOSIPPにはあると感じたため、博士後期課程に進学することを決めました。

 

原田さんは積極的に研究活動を行われて、その成果も多くありますが、どのようにして授業などの大学院生活と両立してきましたか。

OSIPPが楽しみながら研究できる環境だからだと思います。OSIPPに入ってからは先輩方をはじめとした周りの学生と日常的に研究について話す機会があり、そこで「一緒に研究してみよう」となって、共著での研究活動をしてきました。身近にロールモデルとなる先輩方がいらしたことで、過度に身構えることなく、自分が関心のあることについて追究し、研究に向き合うことができています。この心理的なゆとりが、結果として研究と学習活動の両立につながっていると感じています。

先輩方と共同研究しているともちろん自身の知識不足を感じますが、同時に自分の強みを生かすポイントも見つけられました。OSIPPでは実証研究に取り組んでいる学生が多いのですが、私は学部時代から経済学の分野で理論研究をしてきました。OSIPP入学後に、実証研究についての講義を履修し、自身の理論的知見と実証的な視点を融合させることで、多様なバックグラウンドを持つ学生との議論ができるようになりました。これからも実証・理論の両面から研究の知見を増やしていけるようにがんばっていきたいです。

 

論文をたくさん読まれてきたとのことですが、好きな論文はありますか。

私が好きな論文はGalor and Zeira (1993) “Income Distribution and Macroeconomics”[1]です。この論文は学部時代の指導教員と初めて輪読した論文なので、特に思い入れがあります。当時は数学などが難しく理解できなかったのですが、その1年後に読み返すと、シンプルなモデルを用いながらも1つの事象に対して様々なインプリケーションを提示する論文であることに気づきました。
この論文を読むことで、今までの自分の視点とは異なる、経済学による社会の捉え方を理解することができました。今でも私の研究のモチベーションの一部となっている論文です。

 

OSIPPの中で好きな場所はありますか。

リフレッシュルームと自分のデスクが好きです。リフレッシュルームにはテーブルやホワイトボードがあり、OSIPPのほかの学生たちと談笑したり、研究アイデアのディスカッションをしたりできます。一方で、院生室の中にある自分のデスクでは、完全に自分の研究や作業に集中して取り組むことができます。僕は一日のほとんどを大学で作業しているので、そのONとOFFを切り替えられるこの2つの場所の存在に助けられています。

 

今の研究の関心

今は、政治経済学とパブリックファイナンス(公共財政)の研究領域に関心があります。 学部時代は、経済が成長するために「政府がどうやって市場の失敗をフォローしていくか」といった、政府の役割について学んできました。OSIPPに入ったのも、その政府の役割をもっと深く知りたかったからです。
しかし、研究を続けるうちに「政府」という一つの大きな組織があるわけではなく、そこには実際に働く人がいて、意思決定をする政治家がいること、そして政府も失敗することを改めて実感しました。現在は、特に政治家の意思決定が政策に与える影響が大きいと考えています。 これまでの先行研究では「有権者が政治家の動きを見て、誰に投票するか決める」というのが一般的でした。でも、その逆の考え方もあるのではないかと考えています。つまり、政治家のほうが「どうすれば有権者に好かれるか」を考えて、戦略的に政策を打ち出しているのではないか、ということです。そのような政治家の「学習」のプロセスについて興味をもって、日々研究を進めています。

 

OSIPPの先輩方と。中央が原田さん。

OSIPPの学生の皆さんに一言お願いします。

いつも仲良くしてくれるOSIPPのみなさんに感謝です。これからもよろしくお願いします。

 

(筆者)

原田さんとは同じ学年で、特に修論の時期には、私の研究に役立つ文献を教えてもらっていました。 論文を読むのが好きで、研究に打ち込む原田さんのこれからの展開がとても楽しみです!

 

(OSIPP博士前期課程 奥野愛理)

 

[1] Galor, O., & Zeira, J. (1993). Income distribution and macroeconomics. The review of economic studies, 60(1), 35-52.