在学生

【院生紹介】田中裕子さん(OSIPP博士前期課程)

 在学生インタビューとして、今回は、博士前期課程2年に在籍中の田中裕子さんにインタビューを行いました。

 田中さんは人々の協調行動を活発化することによって、社会の効率性を高めることのできる、「信頼」「規範」「ネットワーク」といった社会組織の特徴であるソーシャルキャピタルがどのように蓄積されるのか、という問いに対してスポーツ行動に着目し研究を行い、修士論文を執筆されました。今回はそんな田中さんの学生生活についてお話を伺いました。

 ―OSIPPへの進学を決めた理由は何ですか?

 学部時代は情報メディアについて学ぶ学部に所属していたのですが、「これについて詳しく学びたい」という明確な思いがありませんでした。しかし、卒業論文を執筆するにあたってテーマを選ぶことになったのですが、その際に自身の趣味であったスポーツ観戦を取り上げることを決めました。スポーツの観戦活動を通じた観客同士の交流が社会に与える影響について資料を集め執筆しましたが、より詳細な実証をしたいという思いを抱くようになり、大学院進学を考えるようになりました。当時は実証を行うための知識がなかったため、どの大学院に進学するかを悩んでいましたが、OSIPPに在籍していた先輩から、OSIPPには初学者に向けたカリキュラムが設けられているというお話を伺い、OSIPPへの進学を決めました。

 ―実際に学ぶ中でOSIPPに対してどのような印象を持ちましたか?

 学生はフレンドリーな人が多く、留学生も日本語が堪能な学生が多いという印象を受けました。また、先生方は、研究について質問に伺うと、資料を用意していただけるなど親切に対応してくださる先生が多いと感じました。

 講義は英語で行われるものもあったため、戸惑うこともありましたが、TAの方にフォローしていただいたり、同じ研究室の学生と助け合ったりすることで、理解を深めることができたと考えています。

 ―修士論文はどのようなことをテーマに執筆されましたか?

 研究のテーマとして、「信頼」「規範」「ネットワーク」といった社会組織の特徴であるソーシャルキャピタルがどのように蓄積されるか、ということを取り上げました。先行研究では、ソーシャルキャピタルが蓄積されることで、繋がりの希薄化解消が期待される、ということが示されています。ソーシャルキャピタルが蓄積される要素としては、地域コミュニティや学校・企業などが挙げられていますが、私の研究では学部時代から関心があったスポーツ観戦に着目しました。スポーツ行動が、ソーシャルキャピタルの蓄積に向けた良い効果をもたらすことを実証するために研究に取り組みましたが、理論の形成やモデル・データの扱いなどで苦労することもありました。その際は、周りの学生に相談したり、指導教員の先生に個別指導の時間を取っていただいたり、データ入手のサポートをしていただいたりすることで問題を乗り越えることができました。

 ―今後進学を考えている学生へのメッセージをお願いします。

 2年間大学院に進学するということで、就職に対する不安は少なからずありました。しかし、論文執筆に向けて先生方や先輩から指導していただいたり、周りとサポートし合いながら活動したりした経験が、社会に出るまでの自分自身の土台作りになったと考えています。

(OSIPP博士前期課程 藤田美由紀)