【院生紹介】川西雄輔さん(OSIPP博士前期課程)
2021.4.15
【院生紹介】川西雄輔さん(OSIPP博士前期課程)
今回は、2021年3月に博士前期課程を卒業された川西雄輔さんへのインタビューを紹介します。(取材時期:2021年2月)
川西さんは外交政策や平和構築について修士論文を執筆されており、OSIPPへ進学したきっかけ、修士論文で取り組まれた内容、後輩へのメッセージを伺いました。
― OSIPPへ進学したきっかけを教えて下さい
学部生時代は他大学で外国語学部の出身ではありますが、大学での勉強を進めていく過程で国際関係論への関心を持つようになりました。外国語大学では、どちらかというとリベラルアーツ教育のような、万遍なく様々な分野に触れるように勉強をしてきており、何か特定のテーマについて詳しく学んだり調べたりしたわけではありません。そのため、大学院への進学をきっかけに、1つのものを突きつめて研究してみたいと考えていました。
進学先をOISPPに決めた理由としては、初学者でも十分に勉強を始められたり、また経験豊富な先生方に相談できる環境があることが挙げられます。私が広く関心を持っている国際関係論や国際政治は、前提として一定水準以上の知識が要求されるため、どちらかというと大学院で勉強を進めていく上でも学部から関連分野のバックグラウンドを持っていることが重視されています。しかし、OSIPPでは別の分野からの出身者でも研究を始められるサポート体制が整備されており、かつ私を含め多様な専攻の出身者が多いこともあって、存分に研究に集中することができました。
― 修士論文で取り組まれたテーマを教えて下さい
在学中に行った四国にて
修士論文で取り組んだテーマは、「日本の平和構築に関する外交政策決定過程分析について―フィリピン・ミンダナオの事例を基に―」についてです。第一に、日本がこれまで発展途上国に対して行ってきた平和構築は、国際連合のスキーム(主にPKOへの協力等)を活用して紛争が落ち着く・政情が安定してから関与していくものがほとんどでした。一方で、日本がフィリピンの内戦に対して行ってきたアプローチは、前述のものとは大きく異なり、和平合意が結ばれる前から平和創造及び平和維持にも大きく関わり、一定の成功を治めていました。これは非常に稀有なケースであり、なぜそのような前例なき政策の決定及び実行に至ることができたのかという過程の分析に努めるべく、修士論文のテーマに選びました。先行研究では、それらの要因について単発的に理由を分析し、解釈を検討するものはありましたが、注目度が高い一方で先行研究自体の数は少ないのが実情でした。そこで、私はそれらの先行研究について精査・分析を行い、複合的な視点で検討することにしました。研究の結論としては、先行研究の各々の結果は納得できるものであり、当時のいずれの要因が欠けても、現在のような日本の対フィリピンへの外交政策の成功には繋がらなかったということが分かりました。
― 後輩へのメッセージをお願いします
OSIPPで過ごす時間も、長いように見えて実際には、時間はあっという間に過ぎていきます。貴重な学生生活なので、様々なことへアンテナを張り、挑戦することを是非とも大切にしていただきたいです。私も、入学当初は「国連のPKO」を研究テーマにしようと考えていたのですが、研究テーマの資料集めや在学中のフィリピン留学を経て、よりミクロな視点からの国際協力・平和構築というテーマへチャレンジしてみたいと考えるようになり、修士論文のテーマも現在のように変わっていきました。おそらく、留学という経験がなければ研究テーマは別のものになっていたでしょうし、修士論文もここまで突き詰めた研究にはならなかったものと思われます。どうか、1つ1つの経験を大切にしながらOSIPPでの学生生活を実りあるものにして下さい。
(OSIPP博士前期課程 高村武志)