【院生紹介】板垣桃さん(OSIPP博士前期課程)
2021.4.27
【院生紹介】板垣桃さん(OSIPP博士前期課程)
今回は、2021年3月に博士前期課程を卒業された板垣桃さんへのインタビューを紹介します。(取材時期:2021年2月)
OSIPP進学のきっかけと修士論文で取り組まれた内容、後輩へのメッセージ、OSIPPで2年間過ごした感想を本インタビューで伺いました。(写真:2019年大阪城ホールでの入学式)
― OSIPPへ進学したきっかけを教えて下さい
出身は他大学の経済学部の出身です。学部で理論を中心に学習しているうちに、私の関心は統計学・計量経済学の手法を用いた実証分析にある、ということに気付きました。ただ、実証と言っても理論があってこそのものであると考えており、大学院進学においては、理論と実証においてバランスよく研究できる環境を探していました。候補に挙がった大学院の中でも、特にOSIPPは一番それに当てはまるものであると感じ、進学先にOISPPを選びました。
就職に関しては、公務員への応募も考えており、OSIPPは公共政策大学院でOB・OGの方が官公庁に多くいらっしゃること、様々なバックグラウンドを持つ人たちと交流できることは将来のキャリア設計を考える上でも非常に有益であると思いました。また、大学時代に海外に長期滞在した経験から、留学生が半数以上のOSIPPに身をおきつつ、研究という新たな挑戦ができるということにも大変魅力を感じました。
― 修士論文で取り組まれたテーマを教えて下さい
私が取り組んだテーマは「私立大学の学費決定要因に関する実証分析」です。現在、日本では少子化の進行により、私立大学の主な収益源は受験生からの受験料と入学者からの入学金・授業料となっています。大学の経営については、公共性と自主性の両立が重視されるものであり、少子化の進行に合わせて学校経営の在り方も文部科学省・地方自治体・有識者の間で議論がなされています。その中でも、私は私立大学が国際化することによって、授業料が高くなるのではないかという仮説を立てました。推定方法については、固定効果モデルを用い、特に大学規模別と地域別に分けて分析を行いました。実証分析の結果からは私の仮説が正しいと確認出来ました。その背景にあることの要因として挙げられるのは、留学生を増やすために各大学がそれぞれに設備の増築やスタッフの確保に費用をかけていることなどです。この結果を踏まえて、留学生の人数が増えている大学に関しては、文部科学省が基準を設けてそれに応じた予算を傾斜配分することが、私立大学の経営の在り方に良い影響があるものと考えられると、論文の結びに政策提言として示しています。
― 後輩へのメッセージを教えて下さい
釜山旅行にて(2019年)
私から伝えたいことは2つです。1つ目は、視野を広く持つことです。1つのことに集中することはとても大切ですが、そこに固執し過ぎると、自分の可能性を狭めてしまいます。2つ目は、自分で計画を立てて物事を進めていき、軌道修正もできる能力を是非身に着けて下さい。計画していた通りに物事が綺麗に進むことの方が、本当は非常にまれで、そのことも想定して計画を立てる、あるいは上手くいかない時にも軌道修正出来るということは、目標に向かう課程では必要な能力であると言えます。
この2つはOSIPP で学ぶ内に自然と身につき、就職活動においては大いに役立ちましたし、これからの社会人生活においても発揮する機会の多いであろう、大切な力だと思っています。
― OSIPPで2年間過ごした感想をお聞かせ下さい
入学に当たって注目していた、統計学・計量経済学の手法を体系的に学び、それが凄く身に付いたと思います。また、就職活動も行った上で最終的に社会インフラのメーカーへ就職が決まり、私自身が公共政策を学習したことは就職先を決める上でも良い指針を得ることに繋がりました。
私は特に周りの人々や環境にすごく恵まれていたと思います。まず、指導教員の赤井先生をはじめ、ゼミの皆さんは私をいつも暖かく見守ってくださり、様々なご指導を頂いたことには大変感謝しております。
最後に、 修士論文や学習の面でご指導・アドバイスをくださった教員・職員の皆様、叱咤激励してくださった先輩・同級生・後輩の方々、本当にありがとうございました。
ベルギーのブリュージュにて(2018年)
(OSIPP博士前期課程 高村武志)