5月の研究業績
2021.6.1
5月の研究業績
OSIPP基幹講座教員の先月の研究業績をご紹介します。
・赤井伸郎先生
・中嶋啓雄先生
Hiroo Nakajima, ed.,(著書)
International Society in the Early Twentieth Century Asia-Pacific: Imperial Rivalries, International Organizations, and Experts
Routledge Studies in the Modern History of Asia, New York: Routledge, May 3.2021.
Abstract: Concentrating on the rivalry between the formal and informal empires of Great Britain, Japan and the United States of America, this book examines how regional relations were negotiated in Asia and the Pacific during the interwar years. A range of international organizations including the League of Nations and the Institute of Pacific Relations, as well as internationally minded intellectuals in various countries intersected with each other, forming a type of regional governance in the Asia-Pacific. This system transformed itself as post-war decolonization accelerated and the United States entered as a major power in the region. This was further reinforced by big foundations, including Carnegie, Rockefeller and Ford. This book sheds light on the circumstances leading to the collapse of formal empires in the Asia-Pacific alongside hitherto unknown aspects of the region’s transnational history.
赤井伸郎 (その他の記事)
「異例の減収補填債制度」『十字路』日本経済新聞 2021年5月27日掲載
コロナ禍での地方税減収に際し、減収補填債の発行できる税目範囲が拡大された。この地方債は、税収の代わりでもあり、原則75%が後日、交付税で措置される。これまでは、発行しない場合でも、清算制度を用いて、交付税が調整される仕組みがあったが、新たに追加された税目では、この調整が無く、発行しない場合は 明らかに歳入が減少する。地方債の発行を強く推奨する制度なのである。もちろん、コロナ禍において歳入を確保する制度は大事であるが、地方債を発行しなくても良い自治体にも発行させることは、無駄な歳出を促す可能性もはらむ。今後の税制度の在り方に着目したい。
赤井伸郎 coauthored with 沓澤 隆司 ・竹本 亨 (Discussion Paper)
「コンパクトシティが移動距離、移動手段ごとの所要時間に与える影響の分析」RIETI DP 21-J-025 (2021/5)
概要:本論文は、都市の中心部に人口が集中しているコンパクトシティに関して、そのコンパクト度の高さが移動距離や歩行、公共交通、自動車といった移動手段ごとの所要時間に与える影響について検証を行うものである。人口が都市の中心部に集まり、コンパクト度が高い状態の下では、その都市の市街地の規模が小さくなるために移動距離が短くなり、その結果、移動の手段としての公共交通や歩行による所要時間が大きなものとなる一方で、自動車の所要時間が小さなものとなり、最終的には、住民の良好な健康水準の確保、エネルギー消費や環境負荷の抑制に寄与することが予想される。この場合、都市のコンパクト度自体は、元々鉄道、バスなどの公共交通網が整備されていることなどによりもたらされる内生的な変数であり、OLSによる分析では、同時性バイアスが生ずるおそれがある。また、都市のコンパクト度が移動手段ごとの所要時間に与える影響の度合いも年齢、性別、職業や就業形態により違いが生ずる可能性がある。そこで、本論文では、コンパクトシティと移動距離、移動手段ごとの所要時間との関係を検証するため、都市のコンパクト度の指標である「基準化された標準距離(NSD)」が移動距離、歩行、鉄道、バスなどの公共交通や自動車による移動手段ごとの所要時間に与える影響について、同時性バイアスを是正するために操作変数を用いるとともに、年齢、性別、職業や就業形態の属性別にNSDがもたらす影響について検証を行うものである。
※分類:論文・著書・その他の記事・Discussion Paper