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古本建彦氏(国連ウガンダ常駐調整官オフィス)との座談会

古本建彦さん(国連ウガンダ常駐調整官オフィス)との座談会


2021年7月30日、豊中キャンパスOSIPP棟2階講義シアターにおいて、国連ウガンダ常駐調整官オフィスの古本建彦氏をお招きした座談会が行われた。会場では感染症拡大防止策を徹底しつつ、オンライン参加も可能なハイブリッド形式で行われ、20名ほどの学部生・大学院生が参加した。

 

座談会前半、まず、ご自身の働く国連常駐調整官オフィスについての紹介と、それに関連してアントニオ・グテーレス事務総長のもとで行われている国連での組織改革についての説明をした。各国連機関の活動の重複等による非効率が生じていた中、「調整」の役割を担う最高責任者としての国連常駐調整官を支える事務所を各国に置き、その国に存在する国連機関全体の事業を調整することで、開発支援を効率化させているとのことであった。ウガンダの国連常駐調整官オフィスでは古本氏がその新設の事務所の「Head of Office(所長)」とも呼ばれているという。

また、古本氏はシリアにある難民キャンプにクロスボーダー支援が行われている映像を一例として紹介。こうした支援はニューヨーク国連本部での政治決定と、現地の多数の関連組織の協力や調整という努力の結果であると話しつつ、国連活動に関する様々なアクターを紹介した。

次に、国連で働くためのキャリアの築き方を説明し、修士号、英語力に加え、キャリアの一貫性が重要だと強調した。その上で、近視眼的に何をしたいかではなく、国連に入って将来どのフィールドのどのポジションで活躍したいか具体的にゴールを設定し、そこから逆算してそのために今何が必要か、次にどのポジションで働くべきかを考え、計画的にキャリアを歩むよう説いた。

 

座談会後半には質疑応答の時間が設けられた。国連、外務省、JICA等、参加した学生それぞれが興味をもつ組織でのキャリアに関する質問や、国連という組織での動き方、開発支援に対するよりよい方法や姿勢等、多くの質問があり、古本氏ご自身の経験やそれぞれの現場での具体例もあげながら、丁寧に答えられていた。

 

実際に現場で働いていらっしゃる古本氏ならではのエピソードや、組織改革などの最先端のお話等、他では聞けないようなお話を伺うことができ、国際機関に興味を持つ学生にとっては貴重な機会となった。また、キャリアに関するお話は、国際公務員を目指す学生にはもちろん、それ以外の学生にとっても、自身のキャリアを考える際にヒントになったのではないだろうか。

(OSIPP博士前期課程 中瀬悠)