セミナー・シンポジウム

堀江正彦氏(元地球環境問題担当大使)特別講義
「岐路にある人類と地球:地球温暖化と生物多様性喪失」

2021年10月29日、OSIPP棟2階講義シアターにて堀江正彦・元地球環境問題担当大使による特別講義「岐路にある人類と地球:地球温暖化と生物多様性」がOSIPP国連政策研究センター及びESGインテグレーション研究教育センターとの連携によって行われた。対面とオンラインのハイブリッド形式で実施され、約50名の学生が参加した。

 

 

特別講義に先立って、国際的なキャリアに関する懇談会が開かれた。その冒頭で、堀江氏が阪大経済学部を卒業後に阪大法学部に入学した経緯や、海外留学で得た知見、外務省への入省を志した理由、駐カタール大使、駐マレーシア大使、地球環境問題担当大使を歴任し、防衛省に出向した経験など、ご自身のキャリアを紹介した。懇談会では、外務省で働くことの長所として、平和を求めて国際問題の解決と日本との友好な関係構築を求めて、懸命に働けるところだと説明した。国際機関や国内官庁を志望する参加者からの質問に対しては、各人の志望する進路に応じて、的確なアドバイスを送った。また、外交官としては、国と国との友好関係を個人が体現しなければならず、交渉相手と友好的で信頼できる関係を築くことが必要であり、「この人となら一緒に頑張って協力したい」と思ってもらえるよう努めることが重要だと説いた。

特別講演では、地球環境問題担当大使、国際自然保護連合(IUCN)理事の立場から、地球温暖化と闘うための外交交渉と、人間の経済活動に起因した生物多様性の喪失に関して話した。近年の地球温暖化の進行と気候変動の現況、国連気候変動枠組条約をベースにした国際合意による対応の変遷、日本の近年の取り組みや現在の排出削減目標について説明した。

                   講演後半では生物多様性の喪失を中心に話し、世界人口の急激な増加、火災や伐採による森林の消失などによって、生物多様性の喪失は加速化されていると説明した。また、SDGsの17のゴールの中でも「陸・海の生態系保護」や「清潔な水の確保」と「気候変動対策」に関する項目は、人間の生活の基本となるものであり、それらが確保されないと他の全てのゴールは「砂上の楼閣」となることを肝に銘じなければならないと述べた。講演後の質疑応答の時間では、参加者から中国の気候変動対策についての質問があった。

筆者は、SDGsをテーマとした「Future Global Leaders Camp 2021(FGLC)」(リンク)の取材やSDGsや人間の安全保障に関する授業の履修を通して、今回の講演内容に関する知識をもってはいたが、実際に国際舞台で環境問題の解決に取り組んできた堀江氏のお話からは、現実感と強い思いが伝わってきて、自分自身の環境問題への当事者意識が高まった。日々どのように環境問題に取り組むべきか、また国際的にどのように協働すべきか、真剣に考える良い機会であった。

(OSIPP博士前期課程 中瀬悠)