修了生

【卒業生近況】 新堂翔大さん/株式会社経営共創基盤(IGPI)勤務

新堂翔大さん/株式会社経営共創基盤(IGPI)勤務


2018年3月に博士前期課程(修士課程)を修了された新堂翔大さんのインタビューを紹介します。新堂さんはOSIPPでは赤井伸郎教授のもと、公営企業経営、公共経済学、財政学を中心に学ばれ、現在は株式会社経営共創基盤(IGPI)で経営コンサルタントとして活躍されています。

 

現在のお仕事について教えてください
私は現在、株式会社経営共創基盤(IGPI)にて、経営コンサルタントとして勤務しています。IGPIは不振に陥っている企業を立て直す「企業再生領域」に高い専門性を持つコンサルティングファームです。もちろん、企業再生だけではなく広い領域で支援を行います。例えば私は入社後3年間という短い期間で、工場や自動車メーカーでのコスト・収益改善計画の策定や、IT企業での新規事業立案に銀行の経営計画策定、商社のM&A(企業合併・買収)の支援など、多岐にわたる案件を担当しました。
さらにIGPIはコンサルティングを行うだけではなく、自ら事業も行っており、例えば、「株式会社みちのりホールディングス」というグループ会社では、バスをはじめとした交通・観光事業を行っています。私はコンサルティングの仕事と並行して、みちのりにも関与をさせていただき、その中では、自動運転などの新規事業実現に向けた業務等に携わってきました。

 

入社の経緯・理由を教えてください
OSIPP入学当初は実は国家公務員を志望していましたが、最終的には経営コンサルティング会社であるIGPIに就職しました。私は、社会に貢献できる人材となるためには、就職後にも幅広く深いインプットが得られ、それを自らアウトプットするための力を身に着けることができ、そしてアウトプットする環境がある会社/組織を就職先として選ぶことが最も重要だと考えていました。IGPIのインターンには就職活動の一環ではあるものの、コンサルティング業界ではどんなことをしているのかを知りたいという思いから参加したのですが、インターンを通じて、IGPIは大企業から中小企業やベンチャー企業、都会から地方まで、顧客企業の幅が非常に広く、また経営人材になるため自らを鍛えることもでき、広い領域で課題解決の支援を行うこともできる場であるということを知り、インプット・アウトプットの両面でIGPIは私の求める環境であると考え、進路変更をしました。

 

OSIPPに入学した理由・思い出を教えてください
前述の通り、進路の一つとして国家公務員を考えていたので、理論に基づいた政策立案をできる人材になりたいという思いから、大学院への進学を決断しました。進学先にOSIPPを選んだのは、私のバックグラウンドである経済に関してだけではなく、多様な専門性に触れることができる点に魅力を感じたからです。社会に貢献できる人材となるために、多くの考え方の枠組みを身に着けたいと考えていた私にとっては、非常に貴重な環境でした。
OSIPPでの研究生活で最も刺激を受けたのは、博士後期課程に進学される方々や赤井伸郎教授と議論を重ねた時間です。大学院、特に博士後期課程で研究職を志す方々との議論を通じて、学問に求められる厳密性・緻密性の水準の高さに触れ、そのことが自分の思考力や粘り強さを鍛えてくれました。

 

OSIPPで学んだことがお仕事に活きていると思うことはありますか
就職先と大学院での専門領域が同じでない限り、大学院での研究「内容」は仕事に直結しません。しかし、大学院での学習、研究活動を通じて学んだ、研究領域を理解し、自分なりの仮説を設定し、その仮説を理論的に正しい方法で検証していくという一連の「プロセス」は、現在の仕事に大きく役立っています。
現在私が勤めている経営コンサルティング会社では、私よりもかなり年上の方とディスカッションを行い、何らかの価値を提供することが求められます。経験では到底太刀打ちできない場面で自分の支えとなってくれるのは、自分の考えを正しいと信じられるかどうかです。これは根拠のない自信ではもちろんだめで、論理的に正しいかという点が重要です。少し具体的に言うと、論文や資料、専門家や現場の方へのインタビュー、実地調査等から顧客企業が置かれている現状を理解し、取るべきアクションに関する仮説を立て、そのアクションを取ることが正しいかどうかを、定量・定性両面から検証していくという流れになります。これは研究と非常に近いプロセスです。そして、どんな分野で何をするにせよ、専門家相手に「AによってBが起こる」という因果関係を納得してもらうには、上記のプロセスをきちんと自分の中でこなし、説明する力が必要です。OSIPPで悩みながらも頼れる先生方・先輩・同期と2年間研究を頑張ったおかげで、入社後も何とかやってこれたのだと思います。 

 

OSIPP志願生へのメッセージをいただけますか
経営コンサルタントとして働く中で痛感するのは、顧客企業の経営者が、社会が大きく変容していく中で、企業としてどんな価値を社会に提供していくべきか深く悩んでいるケースが多いということです。多様な専門領域に触れることのできるOSIPPでの学びは、そういった「難しい」問いに若くして向き合うことができる力を与えてくれます。
このページを見られている方の多くは、きっとそういった「難しい」問いに挑んでいきたいという思いをお持ちだろうと思います。是非OSIPPにご入学いただき、そしてしっかり学んでいただき、その後どこかでご一緒できることを楽しみにしております。

(OSIPP博士前期課程 岡春陽