【卒業生近況】山下汐莉さん/NHK札幌拠点放送局 勤務
2022.5.16
【卒業生近況】山下汐莉さん/NHK札幌拠点放送局 勤務
2019年度OSIPP博士前期課程の修了生で、現在NHK札幌拠点放送局でディレクターとして勤務されている山下汐莉さんを取材しました。
現在のお仕事について教えてください
「おはよう北海道」という朝の番組の特集コーナーや、毎週金曜の「北海道道」という番組を担当しています。他にも、プロ野球やJリーグなどのスポーツ中継を担当することもあります。また、NHKの「環境に優しい経営」を考える全局的なプロジェクトにも参加しています。
※山下さんが最近書かれたウェブ記事「スマイルジャパン期待の志賀姉妹 多田が迫る!」
(番組MCの多田さんとアイスホッケー日本代表選手を取材されたそうです。)
この仕事でのやりがいは、「人との出会い」です。北海道に暮らす様々な人に出会えるのもこの仕事をしているからこそで、人によってさまざまな生き方があることを日々学んでいます。以前、公務員でありながらハードル選手として活躍している方を取材したことがあり、この方のように仕事以外のことも頑張る人を見ると「私もいろんなことに挑戦しよう」という気持ちになります。また、番組制作の「ウラ側」も面白いです。例えば、野球の試合の中継映像を制作するとき、ホームランが出た時は打者と投手のどちらの顔を先に映すべきか、監督はどのような表情をしているかなど、その伝え方の選択を楽しみながら学んでいます。
その一方で、日々の生活が仕事と直結しすぎるのがしんどいところです。番組制作の仕事は、自分の知りたいことを調べ、それを発信することができる最高の仕事だと思っていますが、仕事と自分の時間を切り分けることが難しく、疲れてしまうことはあります。また、北海道は良いところですが、冬の寒さは地元の関西と比べものにならないほど厳しく、精神的につらい時もあります。
なぜそのお仕事に就こうと思われたのでしょうか。
小学生の時から一視聴者として「誰がニュースを選んでいるのか」疑問に思っていました。阪大法学部国際公共政策学科での学部生時代には、在籍していたゼミの影響で、ニュースを批判的に見るようにもなっていました。メディア業界に就職したいと思ったのは、よく言うと「興味」ですが、「懐疑心」から、とも説明できます。OSIPPでの院生時代にもメディアを研究していましたが、直接自分の目で見ないとわからないことが多いと思い、この仕事でキャリアを始めることにしました。
マスコミへの就職を希望する場合、学生時代にどんな準備が必要でしょうか?
就職活動のための面接対策等を除けば、特に準備は必要ないと思います。私はOSIPPで語学力の向上に努めましたが、現在の仕事でそれは付加価値にすぎないと感じます。
周りを見渡しても、学生時代にグライダーで空を飛び回っていた人、本をたくさん読んだ人、多くの映画を見ていた人、動画サークルで動画を多く編集していた人、学生時代を野球に捧げた人など、いろいろな人がいます。その点で、私は浅く広く多くの事を経験した学生時代を過ごした、といえるでしょう(笑)
OSIPPではどのような研究・学生生活を送られていましたか。
ヴァージル・ホーキンス先生の研究室で、メディア研究をしていました。例えば、誰が情報を取捨選択しているのか、実際に出てきた情報がどのような論調で話されているのか、そしてメディア側の意図は何かについてです。私の研究対象がNHKの番組だったのですが、毎日自宅のHDDで録画したものを分析するという、“手を動かす研究”に没頭しました。
また、OSIPPのダブルディグリープログラムに参加し、オランダのグローニンゲン大学で1年間、歴史哲学や国際関係論を学びました。優秀な学生に囲まれながら一生懸命に課題をこなす、人生で一番大変な日々でもありましたが、この留学で理論や哲学をきちんと学ぶことができたのは財産だと考えています。
【山下さんのダブルディグリープログラム体験記】
【院生投稿】山下汐莉さん 大阪とグローニンゲンでの3年間
今後の目標はありますか
まずはディレクターとして、一人前になることが当面の目標です。私は2020年4月入社し、その2ヶ月後に札幌局に配属されたのですが、NHKにはADがいないので、配属直後からメインのディレクターとして番組を制作しています。慣れない仕事内容に戸惑うことも多く、5分間のリポート制作にも苦労していますが、今後は経験を積んで、いつか余裕をもって仕事に向き合えるようになりたいと思っています。
(OSIPP博士前期課程 千馬あさひ)