セミナー・シンポジウム

合同シンポジウム「EBPMを担う人材の教育と実践」開催

合同シンポジウム「EBPMを担う人材の教育と実践」


2022年6月10日、OSIPPとMetrics Work Consultants(以下MWC)の連携協定を記念し「EBPMを担う人材の教育と実践」に関する合同シンポジウムが、OSIPP経済系教員による研究センターである*CEPOも共催し、オンライン形式にて行われた。シンポジウムには学生や教員、官公庁職員を中心に約80名が参加した。

 

シンポジウムでは、まずCEPO代表である瀧井克也先生(OSIPP教授)より「EBPMと大学教育」というテーマで講演が行われた。EBPM(Evidence Based Policy Making)とは、政策の企画を一時的なエピソードに頼るのではなく、合理的根拠(エビデンス)に基づくものとすることである。瀧井先生は、政策の有効性を検証するための無作為実験を積極的に行うことの重要性や、日本でのEBPM普及に向けた教育機関としての大学の取り組みについて話した。特に、OSIPPにおいて政策企画の現場とアカデミクスをつなぐ人材の育成を、今後はより積極的に進めていくと語っていたのが印象的だった。

 

その後、MWC代表取締役、青柳恵太郎さんより「EBPMの実践」というテーマで講演がなされた。実務家として多くの政策の企画を経験している青柳さんは、EBPMが実務家の意思決定において強い味方であることを強調した。そして、EBPM促進のためには、現場のニーズを把握している実務家、最先端の研究を行う研究者、そして課題を明確にして適切な問いを設定するコンサルタントの連携が大事だと指摘して、OSIPPとMWCの連携の意義について語った。

 

最後に、OSIPP修了生でもあり、現在MWC社員である一柳栞奈さんは、OSIPP時代のMWCでのインターンシップの経験について話した。インターンシップではOSIPPでの学びを生かしつつ、実際の政策企画の現場に近いからこそ得られた学びがあると強調していた。

 

 

本シンポジウムは、学術的な話だけでなく、実務的で実践的な内容を伺うことができ、OSIPPでの学びをもとに日本の政策立案を支えていきたいと考える著者にとって、非常に面白いイベントであった。現場で実際の課題と向き合っているMWCの皆さんの話は興味深く、OSIPPの学生、教員だけでなく、一般の方、実務家の方にも非常に学びの多いイベントであったのではないかと感じた。

(OSIPP博士前期課程 大谷知弘)

 

* CEPO(Center for Evidence-Based Policy Making@OSIPP, OSAKA UNIVERSITY):EBPM(証拠に基づく政策立案)の普及を図ることを目的とし、OSIPP経済系教員により組織された研究センター。質の高いエビデンスに基づく政策立案に役立つ、厳密な実証/理論研究の推進に努めている。