セミナー・シンポジウム

薮中三十二特任教授OPEN教室
「2022年日本の課題-ウクライナ、ロシア、台湾そして中国-」

「2022年日本の課題-ウクライナ、ロシア、台湾そして中国-」


2022年7月4日、OSIPP棟2階講義シアターにおいて、大阪大学法学部OBで元外務事務次官の薮中三十二特任教授によるOPEN教室「2022年日本の課題-ウクライナ、ロシア、台湾そして中国-」が開催された。講義は全て英語で行われ、今回は学生や教職員に加えて、一般からも多数の参加があった。

 

 

講義は3つのテーマに関して行われた。1つ目に、緊迫するウクライナ情勢と今後に考えられるシナリオについて、2つ目に、アメリカ、中国、ヨーロッパなど国際社会でのウクライナ情勢への対応について、3つ目に、アジア、特に日本が抱える課題について述べた。講義の最後には質疑応答の時間も設けられ、参加者が積極的に質問し、薮中先生が丁寧に回答した。

 

 

まずウクライナ情勢に関しては、ロシアが今回の侵攻を始めた思惑や、アメリカとNATOの対応の是非について、また、ウクライナにおける今後の考えうるシナリオに関しても話した。その後、世界の2大国であるアメリカと中国のウクライナ情勢への対応をめぐるお互いの関係性の変化について、そして、ウクライナへの侵攻が中国に与える影響について説明した。さらに、台湾への中国の関与について話が進み、最後に日本の課題に関して述べた。特に、日中関係における尖閣諸島の領土問題や、北朝鮮の非核化、それに加えて、日本と韓国の関係性に関しても講義した。

 

講義では出身国や年齢などが異なる様々な方が参加して、薮中先生の話に熱心に耳を傾けていた。ウクライナ情勢という国際的な話題から始まり世界情勢を俯瞰した後に、日本が抱える課題について述べるという構成になっており、国際社会の状況変化により、日本がどうあるべきか参加者が考えることができた講義であったのではないだろうか。薮中先生が元外交官ということもあり、外交的な対話の重要性について語っていたのが印象的であった。公共政策を考える際には、国際的な視点が不可欠である。OSIPPにおいて経済学を専門としつつ公共政策を広く学んでいる著者にとっても、その視点を見直すよい機会になり、非常に大きな学びを得られた講義であった。

(OSIPP博士前期課程 大谷知弘