セミナー・シンポジウム

アダム・リッフ氏(インディアナ大学)特別講演

2023年6月8日、アダム・リッフ(Adam P. LIFF)氏 (インディアナ大学)による”U.S. Allies & Taiwan : Japan and Beyond”と題した特別講演が開催された。学内外からの申込者多数によりOSIPP棟講義シアターが満席になる盛況ぶりで、参加者の関心の高さが伺えた。
(開催案内:https://www.osipp.osaka-u.ac.jp/ja/lecture-adam-p-liff/

 

講演会の冒頭、OSIPP准教授の片桐梓先生から開会の挨拶の後、ブルッキングス研究所やハーバード大学ライシャワー日本研究所など、多方面で活躍しているリッフ氏の紹介があった。

まず、リッフ氏は本講演のキーワードとなる「1つの中国(One China)」について歴史的背景や現在の国際社会における所謂「台湾問題」との関係を説明した。近年、中国政府が「一つの中国の原則は国際関係の基本準則であり、国際社会の普遍的共通認識(コンセンサス)である」などとして、台湾が中国(即ち、中華人民共和国)の一部だと頻繁に主張しているが、客観的に分析すると、原則的にも実践的にも、普遍的なコンセンサスは存在しないという指摘であった。その例として、米国だけではなく、日本、韓国など米国にとって最も重要な同盟国も、台湾の国際的地位に関する公式な立場を曖昧にしてきた。さらに、台湾との関わり方は政府、時代、分野によって変わることもあると述べた。講演の後半では、日本や日米同盟と台湾との関係の歴史や現在の状況を簡単に紹介した。

その後の質疑応答では、外交文書の言語翻訳による解釈の影響、「台湾」とは何か、イタリアとの関係、台湾有事の可能性、日本の防衛政策と憲法第9条との関係について等、様々な角度から非常に活発な議論が交わされた。さらに、講演終了後もリッフ氏を囲み熱心に質問する学生たちの姿もあった。

 

 

講演会前にはOSIPP准教授である南和志先生のゼミ生を主とする学生たちとの懇談会も催され、キャリアに関することからアカデミアと実務の関係性などについて、終始和やかな雰囲気で交流が行われた。

(OSIPP博士後期課程 平野歩)

懇談会の様子