薮中三十二特任教授 OPEN教室
「日本の針路を考える -分断された世界、アメリカの大統領選挙を控えて-」
2024.8.8
2024年7月1日、OSIPP棟講義シアターにおいて、元外務事務次官の薮中三十二特任教授によるOPEN教室「日本の針路を考える-分断された世界、アメリカの大統領選挙を控えて-」が開催された。講義はすべて英語で行われ、様々な国籍、年齢、性別からなる40名の参加者が集まった。(写真:講義の様子)
薮中先生は、現在様々な要因で分断されつつある世界における諸問題に触れながら、アメリカや日本の外交について述べ、日本がこれからどのように外交を展開していくべきかについて論じた。
まず、現在の顕著な分断として、G7諸国とBRICSのように民主主義と独裁主義が対立していることを述べた。そのような状況下で今年、世界を導く立場ともなるアメリカの大統領選挙が行われ、候補者それぞれの外交姿勢は異なっていることを説明した。どちらが選出されるのかによって日本が行う外交も異なると述べた。
次に、現在の世界の問題と国際連合(国連)についても説明した。国連の安全保障理事会の常任理事国であるロシアのウクライナ侵攻に関しては、なぜ起こったのか、事前に防げなかったものなのか、また平和的な対話とは何か、そしてNATOによりウクライナの安全を保障することについても述べた。
最後に、尖閣諸島の問題、北朝鮮の核実験などの日本周辺の問題に関して触れた。これからの日本が進む道としてアメリカとの強い同盟や、防衛能力の強化および東アジアの国々との平和を維持するための外交努力が必要であるとのことだった。
世界は複雑に絡まった多くの問題を抱えている。薮中先生はそれらの問題に対処する心得として、対話による和平を重要視している。これは日本だけでなくどの国においても同様に重要だろう。元外交官の薮中先生の講演は、筆者にとって日本の外交について深く考える貴重な機会となり、国際社会における平和の重要性を再認識させるものとなった。
(OSIPP博士前期課程 奥野愛理)