2月の研究業績
2021.3.1
OSIPP基幹講座教員の先月の研究業績をご紹介します。
・赤井伸郎先生
・松野明久先生
・室岡健志先生
・和仁健太郎先生
赤井伸郎 coauthored with小川 顕正
「マイナンバーカード普及率の要因分析―促進政策効果の検証―」forthcoming『日本地方財政学会研究叢書』 第28号 pp.15-38、2021.(査読有)
概要:本稿は、コンビニ交付サービスの導入や市区町村による交付促進政策が、各市のマイナンバーカードの1年間の交付枚数にどのような影響を与えているのかを定量的に分析したものである。分析の結果、交付促進政策に一定の効果があったことを明らかにしている。
室岡健志
「消費者保護政策の経済分析と行動経済学」『行動経済学』第13巻 pp.105-109、2020.
(招待論文、サーベイ、査読有)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jbef/13/0/13_105/_article/-char/ja/
概要:本稿では、消費者保護政策の経済分析について概説する。まず、経済学における消費者保護政策について、筆者の見解に基づき議論する。また、消費者保護政策と行動経済学の関連について述べる。次に、行動経済学を競争政策および消費者保護政策へ応用した、筆者の研究を紹介する。
赤井伸郎
「コロナ禍が試す官民連携」『十字路』日本経済新聞 2021年2月17日掲載
http://akainobuo.starfree.jp/jyu-ji-ro.html
概要:コロナ禍において、リスクが分担されているインフラ事業(コンセッションやPFI、明確な官民リスク 配分契約に基づく第三セクター事業など)は、大幅な収入減少により、事業の継続が危ぶまれている。官民でどのように影響を分担するかは協議となる。契約の新たな動きも生まれている。今回のコロナショックは、官民 連携をより進化させる良い機会となった。
松野明久
「西サハラの主権問題-トランプ外交の負の遺産」『世界』2021年3月号 pp. 27-30
概要:トランプ大統領が退任間際に行った取引外交として、モロッコがイスラエルとの関係正常化を果たす見返りに、米国がモロッコの西サハラに対する主権を認めたことの背景とその影響を論じた。
松野明久
「フィリピン政府と共産党の和平交渉-長期化の背景をさぐる」『世界』2020年12月号 pp.199-205
概要:武装闘争を続けるフィリピン共産党と政府・国軍との紛争は長い歴史をもち、1990年代から和平交渉が行われてきた。ドゥテルテ大統領は交渉を再開させたが、その後軍事的解決に戻ってしまった。なぜ交渉がまとまらないのか。論点を概説した。
室岡健志
行動経済学 人の心理を組み入れた理論 連載第9回 不確実性下の選択(4)参照点依存理論の応用
『経済セミナー』No.718、2020年2・3月号(1月発行)pp. 129-135
概要:今回は、Kahneman and Tversky (1979, Econometrica)で提唱されたプロスペクト理論を発展させた、Koszegi and Rabin (2006, Quarterly Journal of Economics; 2007, American Economic Review)による合理的期待に基づく参照点依存の理論の価格付け、労働供給、失業保険などへの応用を紹介する。
和仁健太郎
「選択科目論文式試験 国際関係法(公法系)解説・解答例」
『別冊法学セミナーNo. 265 司法試験の問題と解説2020』2021年2月発行 pp.258 – 263
概要:2020年度司法試験・選択科目「国際関係法(公法系)」の解説と解答例である。今年度は、第1問が主権免除(絶対免除主義と制限免除主義、免除の放棄、強制執行の免除など)、第1問設問1が越境環境損害についての国家責任、設問2が条約の終了原因、設問3が国際司法裁判所の管轄権に関する設問であった。
Nobuo Akai coauthored with Takahiro Watanabe
“Elections accelerate inefficiencies in local public good provision with decentralized leadership”
OSIPP Discussion Paper: DP-2021-E-004 (February 25, 2021)
Abstract: This paper introduces the election process to the traditional decentralized leadership model, where the central government does not have a pre-commitment ability, and interregional transfer is optimally designed ex post. In the traditional decentralized leadership model, it has been shown that local public good provision is distorted by ex post transfer. The purpose of this paper is to examine how the introduction of the election process affects inefficiencies in the decentralized leadership situation. Our results show that the direction of this distortion depends on the commitment environment, and the degree of this distortion depends on the degree of spillover.