【FGLCレポート】vol.3 FGLCいよいよ開催!(’21/8/20~22)
2021.10.6
FGLCレポート、第三弾はいよいよFGLC2021開催の報告です。
2021年8月20~22日にFuture Global Leaders Camp 2021 online(以下FGLC)が開催され、今年は日本全国から高校生36人が参加しました。
<1日目>
初日は赤井伸郎研究科長の挨拶から始まった開会式ののち、高校生5~6人とファシリテーターの大学生1人のグループにそれぞれ分かれ、早速グループワークに取り組んだ。参加者は、事前に大学側からネット上に提供されているロジカルシンキングやスライド作成術に関する動画を見ておくことが求められている。そこで学んだ知識に基づいて、事前課題(SDGs関連)のエッセイを準備し、かつ、その内容をスライドにまとめて準備してきている。それら、発表し合ったのち、互いに意見を交換し今回取り組む研究のテーマを選択した。
昼食後の座談会では、高校生から受験や大学生活についての質問があり、松繁教授や大学生がひとつひとつ丁寧に答えた。座談会後には、レクリエーションコーナーで大いに盛り上がり、グループメンバーとの親交を深めていた。
午後は、OSIPPの卒業生である原琴乃さんによる特別講演「持続可能な未来のためのリーダーシップ」も行われた。原さんは、外務省職員であると同時に、NPO法人の代表で、かつ絵本作家という顔も持つ。外務省でSDGsの推進に関わっているキャリアを踏まえ、政府のSDGsへの取り組みやその変遷や、SDGsの重要性・意義について語った。「SDGsはそれぞれのゴール・ターゲットで見れば、いままで世界各国が取り組んできたことだが、そのゴールは相互に繋がりあっており、一緒に進めることが重要。そして、その本質は日本で昔から大事にしてきた価値観と同じなので、ぜひ自分事として考えてほしい。また、グローバルなリーダーシップの発揮のためには言葉を大切にすること、フロントランナーであること、組織人である前に地球人であることが大事。」と伝えた。
<2日目>
二日目は、前日のテーマ設定の段階から、多くの班が仮説の設定にまでプロセスを進めていった。積極的に意見を交わし案を徐々にまとめながら、午後に控える中間発表に向けて、資料の作成や発表・質疑応答の練習をしていた。
講演後には参加者からは予定時間を超過するほど多くの質問があがり、一問一問丁寧に答えられていた。
次に、二日目のハイライトである、中間発表が行われ、各審査員の先生方からは様々なコメントやアドバイスが寄せられた。それらを参考に、夕食後のグループワークは任意であったにもかかわらず、ほぼすべてのグループが作業を続けていた。研究仮説を考え直すグループ、追加の調査を行うグループなど様々であったが、どのグループも明日の最終発表に向けて、熱心に取り組んでいた。
<3日目>
最終日の午前中は、FGLC最後のグループワークが行われた。どのチームも午後に控える最終発表に向けて、ラストスパートをかけ、準備を行った。昼食をとりながらも、スライドなどの発表資料の作成や発表の予行演習を行い、最後の一秒まで懸命に取り組んでいた。 迎えた最終発表は、二日目に引き続き、松繁先生他3名の先生方が審査員を務めた。どのグループも前日の中間発表からさらに議論を重ねた努力が表れており、大きな成長を見せていた。「よくできているからこそ」さらなる改善が可能と判断され、敢えて伝えられた審査員からの厳しい質問やコメントにも、しっかりと耳を傾けていたのが印象的であった。
[各グループの研究テーマ]
A:日本国内の今後の失業者対策と支援
B:日本の教育格差とICT
C:エチオピアの教育を推進する(金賞)
D:アメリカにおけるヒスパニック系の教育格差
E:日本の障害者の経済格差を是正する(銅賞)
F:アパレル大量生産による環境問題の解決
G:南スーダンにおける飢餓の解決(銀賞)
各審査員の先生方からは「皆さんの3日間の活動は素晴らしく、年々発表のレベルも上がってきていて、今回は評価が僅差だった。今後はさらに、想像力を働かせること、問題を具体化すること、広い視野を持つことを意識してほしい。」と講評し、主催の松繁先生は「皆さんの世の中をよくしたいという気持ちに感心した。それを活かすために社会科学や人文学などの文系の知識が必要だということを頭の隅においてほしい。また、どう日本を変え、どう世界に貢献するかを意識して国際舞台で活躍できるよう成長してほしい。」と話した。
金賞を獲得したCグループの齊藤了允さん(Tasis American Highschool)は「進捗報告で一番遅れているのではないかと焦ったが、先生方から頂いたコメントやメンバーから出た小さな声も全て反映し、いい内容の発表ができた。まだまだ議論し尽くせていないので、同様の機会があれば参加したい。」と話した。また、同じくCグループの藤川晴加さん(高槻高校)は、「なかなかテーマも決まらず不安だったが、メンバーと力を合わせて、様々な視点から教育について学べるいい機会だった。それに加えて、金賞をいただけて嬉しい。」と喜びを語った。
運営総括の真島怜子さんは、「高校生も運営も、濃い時間の中でお互いにたくさんの刺激を受け、共に成長できた。FGLCでの経験が、皆さんの人生におけるきっかけになれば嬉しい。FGLCに関わってくださった全ての方々に、心より感謝申し上げます」とFGLCを振り返った。
参加者同士は初対面でのオンラインイベントであるにも関わらず、それぞれが積極的な姿勢と熱量で参加している様子を見て、高校生ながら日頃から社会課題についてこれほど深く考えているのかと驚いた。また、運営体制に関しては、大学1年生のメンバーもいる中でのしっかりした対応と臨機応変さにも感激した。事前インタビューでも伺っていた通り、入念な準備をされたことが感じ取れた。私自身、FGLCの取材を通して、特別講演や審査員の先生方の講評はもちろん、参加した高校生や大学生からも学びを得て、大いに刺激を受ける機会となった。
(OSIPP博士前期課程 中瀬悠)
今回参加された皆さん、3日間お疲れ様でした!(※参加者全員が写っている集合写真ではありません。)